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第12章

日常

黒岩から連絡が来なくなった。

森にいるから、当然だった。

百合は朝、会社へ行った。夜、部屋に帰った。本を読んだ。眠った。また朝が来た。

静かだった。

離婚してから、ずっとこうだった。嫌いじゃなかった。でも時々、夜中に目が覚めた。

なんのために生き残っているんだろう。

そう思った。

怖くはなかった。ただ、わからなかった。

答えが出ないまま、また眠った。朝が来た。会社へ行った。

それだけだった。

ある日の昼休み、近くの公園のベンチに座っていた。

コンビニのサンドイッチを食べながら、鳩を見ていた。

鳩が3羽いた。パンくずを奪い合っていた。

百合はサンドイッチの端を千切って、少し遠くに投げた。

鳩が3羽とも、そちらへ走った。

しばらくして、また奪い合いが始まった。

百合はそれを見ながら思った。

鳩も、同じだ。

怒る気にもなれなかった。ただ、そういうものだと思った。

サンドイッチを食べ終えて、立ち上がった。

空が青かった。

なぜか、泣きそうになった。

理由はわからなかった。

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