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第七章

湯気の消えたあと

彼女は立ち上がった。

「遅くまでありがとうございました」

「また来ますか」

彼女は少し考えてから、答えなかった。 代わりに、扉に手をかけながら振り返らずに言った。

「猫の話、覚えておいてください」

扉が閉まった。


廊下の足音が遠ざかっていった。

コートの裾が濡れていたことを思い出した。 雨は降っていなかった。

テーブルの上に、湯飲みが二つあった。 彼女の湯飲みには、お茶がまだ少し残っていた。 湯気は、もう出ていなかった。

スマートフォンを手に取った。また動画が始まりかけた。

閉じた。

窓の外を見た。隣の家の窓に、灯りがついている。 誰かが、そこにいる。

私は何かを感じた。 考えるより先に、感じた。

それが何だったかは——ここには書かない。


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