← 絵馬 目次

エピローグ

エピローグ

その後、世界は変わらなかった。

ニュースは続いた。

戦争は続いた。

計画書通りに動く人たちは、動き続けた。


でも、エマも動き続けた。

透も動き続けた。

二人だけではなかった。

同じことに気づいた人たちが、世界のどこかにいた。

名前も知らない。

顔も知らない。

でも、確かにいた。


ユーフラテスは、まだ流れていた。

細くなっても、流れていた。

水は海から空へ。

空から山へ。

山から川へ。

川から海へ流れる。


形は変わる。

でも、同じものだ。


エマはある朝、いつもの道を歩いていた。

小さな原っぱの前を通った。

足が止まった。

白があった。ピンクがあった。様々な緑があった。

朝日の中で、朝露が光っていた。


スマートフォンを取り出さなかった。

ただ、立っていた。

今日も、ただ立っていた。

それで、十分だった。


了


絵馬 ~エマの物語~

五十音百 著