日曜の朝、文香はスマホの設定を開いた。
SNSの通知を、ほとんど切った。
メッセージアプリだけ残した。
引き出しから、人間ドックの案内を取り出した。日付は、もう過ぎていた。
新しい日程で、予約を取り直した。
母親との約束の時間、文香は駅前で待った。
母親は少し早く着いていた。
「久しぶりね」
「久しぶり!」
特別なことは何も話さなかった。近況と、昔話と、他愛のないことだけだった。
でも、文香は途中、何度もスマホを見そうになる自分に気づいた。
見なかった。
代わりに、母親の話を、きちんと最後まで聞いた。