月曜、まどかと会った。
「日曜、母とご飯食べてきた」
「どうだった?」
「特別なこと、何もなかった」
「それが一番いいんだよ」とまどかは言った。「特別じゃない時間を、ちゃんと使えたってことだから」
文香はコーヒーを飲んだ。
「まどか、患者さんに、いつも聞くことってあるの?」
「うん」
「なに?」
まどかは少し笑った。
「今日、一番長く一緒にいたいのは誰ですか?」
「なんて答えが多いの?」
「有名人でも、成功者でもない。だいたい、家族とか古い友達とか、身近な人」
文香は自分のスマホを見た。画面には、母親との写真が表示されていた。日曜に撮ったものだった。
「私、この1時間の重さ、ずっとわかってなかった気がする」
まどかはコーヒーを飲んだ。
「わかってない人の方が多いよ。気づいた時には、だいたい、時間が残り少なくなってるから」
「まどかは、いつ気づいたの?」
まどかは少し黙ってから言った。
「最初にこの病棟に来た日」