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第六章

託されたもの

もうひとつ、玄さんが私に渡したものがある。

戦争を実際に体験したおじいから、話を聞かせてもらったことがあった。小学生の頃、夜にサトウキビ畑に隠れようとしたら、先に隠れていた大人たちに「お前たちは来るな」と追い払われたという話。仕方なく近くの土の窪みで一晩を過ごし、朝になったら、サトウキビ畑に向かってアメリカ兵が銃弾を撃ち込んで、隠れていた人たちは皆死んでしまった、という話。

その話を聞かせてもらった夜、玄さんは静かにこう言った。

「戦争の記憶は恐ろしいものだから、普通、人には話さないものだ。それをあんたに話してくれたということは、人と人との繋がりができたということなんだよ。大事なことだから、心にしまっておいて、いつか機会が来たら、誰かに話しなさい」

機会が来たら。

ずっと、その言葉だけが胸の奥に残っていた。誰に、どうやって話せばいいのか、わからないまま、10年が過ぎた。

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