その週末、海斗は大学の先輩、石田さんと飲みに行った。
石田さんは、以前IT企業でアプリのUXデザイナーをしていた。今は転職して、別の仕事をしている。
海斗はオプション料金の話をした。
石田さんは、意外そうな顔をしなかった。
「そういうの、業界的にはよくある構造なんだよね」
「オプション商法ってこと?」
「それもある。でも、もっと大きい話をすると、"無料"って言葉自体、あんまり信用しない方がいい」
「なんでですか。無料は無料なんじゃないんですか?」
石田さんはビールを一口飲んだ。
「タダより高いものはない、って言うでしょ。あれ、結構本質突いてる」
「どういうことですか」
「海斗くんが使ってるアプリ、SNSとかほとんど無料だよね」
「はい」
「無料なのに、あの会社たち何で儲けてると思う?」
海斗は少し考えた。
「広告ですよね」
「そう。広告主がお金を払ってる。誰に見せる広告かっていうデータと引き換えに」
「じゃあ、俺が支払ってるのって何なんですか?」
石田さんは、海斗の顔を見た。
「注目」