「注目?ですか?」
「海斗くん、1日にスマホ、何回見る?」
「わかんないです。数えたことない」
「たぶん、100回近く見てるよ、みんな」
「そんなに?」
石田さんは頷いた。
「僕、前の会社で、通知の設計をしてたことがあるんだよね」
「通知の設計?」
「いつ、どんな通知を出したら、アプリを開いてもらえるか。そればっかり考える仕事」
海斗はグラスを持つ手を止めた。
「正直に言うとね、あれ、スロットマシンと同じ仕組み使ってる」
「スロットマシン?」
「スロットマシンって、毎回当たるわけじゃないよね。たまに当たる。次はいつ当たるか、わからない」
「はい」
「その"いつ当たるかわからない"が、一番、人を依存させるんだよ。毎回当たるより、たまにしか当たらないヤツ方が、やめられなくなる」
「それが、通知とどう関係するんですか?」
「通知も同じ。開くたびに、いいねが増えてることもあれば、何もないこともある。その"たまに嬉しいことがある"感覚が、スマホを何度も見る癖を作る」
海斗はスマホをテーブルに置いた。
「意図的に、そう作られてたんですか」
「僕は、そう作ってた」と石田さんは言った。「もう、辞めたけど」