「なんで辞めたんですか?」
石田さんは少し間を置いた。
「自分の母親が入院した時、スマホ通知に気を取られて、大事な話を半分聞いてなかったことがあってさ」
海斗は黙った。
「その時、気づいた。俺が設計してた仕組みは、"人と人をつなげる"んじゃなくて、"画面と目をつなげる"仕組みだったんだって」
海斗は自分のスマホを見た。SNSのアプリを開いた。
フォロワー、800人。
友達リスト、300人以上。
でも、この1年で、実際に電話した人は、片手で数えられるくらいだった。
「俺、つながってる人の数は多いのに、なんか、寂しいんですよね、たまに」
石田さんは頷いた。
「通信費って、面白い言葉だと思わない?"通信"の"費用"。でも、払ってる金額は増えてるのに、本当の意味の通信は、減ってる人、結構多いと思う」