← あなたの預金、いくらですか 目次

第十章

細かい字のページ

誠はその夜、通帳をもう一度開いた。

 八桁の数字は、変わらずそこにあった。 紙に、インクで、印字されている。

 だが、これは俺の金ではない。 銀行が誠に対して負っている借金の額だ。

 誠は通帳を閉じて、引き出しに戻した。 それから、細かい字のページを、もう一度だけ開いた。

 「消費寄託」  十七年間、誰も、この字を読めとは言わなかった。

 言う理由がなかったのだと思う。 そして、隠されてもいなかった。

↑ 目次に戻る