五十音 百 · Literary Fiction · Social · 2026
通帳に印字された八桁の数字。それは自分の全財産だと思っていた。「消費寄託」という三文字を読んだ日、田中誠はその金の正体を知る。「手取り、いくらですか」続編。
Chapters
第一章
十七年ぶりに眺めた、通帳の八桁の数字。それが自分の全財産だと思っていた。
Read →
第二章
銀行に金を預けると、その所有権は銀行に移る。持っているのは、返却してもらう権利だった。
第三章
一千万を超えた分は、保護されない。同僚の岡本が、あっさりとそう言った。
第四章
うちのお金は、うちのお金じゃないってこと?でも、引き出せるでしょ。
第五章
私が預けている金は、今、どこにありますか。新井は、答えられなかった。
第六章
誰も行かないから、起こらない。十七年分の資産は、その上に乗っかっていた。
第七章
お金って、どこから来ると思う?娘は、黙り込んだ。
第八章
貸すと決めた瞬間に、口座に数字が打ち込まれる。自分が作った金を、自分は知らなかった。
第九章
残高は足りている。でも、それに見合う紙幣は、どこにも存在しなかった。
第十章
十七年間、誰も、この字を読めとは言わなかった。
第十一章
些細なことだが、無意味だとは思わなかった。