← あなたの預金、いくらですか 目次

第二章

消費寄託

「消費寄託」  意味が分からなかった。

 だから、スマートフォンで意味を調べた。

 説明を、誠は何度か読み返した。 読み返すたびに、同じところで引っかかった。 引っかかっているのは言葉の難しさではなかった。 書いてあることは、驚くほど単純だった。

 銀行に金を預けると、その金の所有権は、銀行に移る。

 誠が持っているのは、金そのものではない。 同じ額を返却してもらう権利のほうだったのだ。

 つまり、誠は、お金を預けているのではなかった。  銀行へ貸していたのだ。

 十七年間、この銀行に、無担保で。

↑ 目次に戻る