五十音 百 · Science Fiction · Philosophical · 2026
~An Orchestra of Stars~
太陽が、少しずつ暗くなっていく。たったひとり宇宙を旅する雫が出会った、岩の姿をした知的生命体・コハク。追いかけてきた「ウイルス」の正体は、思いもよらないものだった。映画 『プロジェクト・ヘイル・メアリー』に着想を得た物語。
Chapters
第一章
目を覚ましたとき、雫のまわりには、誰もいなかった。低い機械の音だけが、ずっと鳴り響いていた。
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第二章
雫は進路を変えてみた。それでも、物体Aは、いつのまにか、また同じ場所にいた。逃げても、逃げても、ついてくる。
第三章
扉の向こうに、それは、いた。岩でできた、大きな蜘蛛。雫は、その相手を、こう呼ぶことにした。「コハク」
第四章
ウイルスの正体は、実に意外なものだった。ほとんど水だったのだ。雫は、心の中で、呼び名をそっと変えた。──水の子たち。
第五章
うつっていたのは、病ではない。幸運の方だったのだ。
第六章
地球は、支配という病を患っているのだ。太陽が暗くなることよりも、ずっと前から、静かに、そしてとても深く。
第七章
神話は、科学とは違うやり方で、同じ真実に触れているのかもしれない。
第八章
分けあえば、飢えなくて済む。奪いあうから、足りなくなる。雫は、静かに、心を決めた。──地球へ帰ろう。
第九章
幸運は、ゆっくりと、地球のうえを、伝播していった。